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マルチバンドコンプレッサーのコラム


マルチバンドコンプレッサーは音を帯域ごとに分けて圧縮できるエフェクターのことで

精密な音質調整ができるコンプレッサーです。

Waves C6、Fabfilter Pro MBなど色々なメーカーからマルチバンドコンプレッサーが販売されています。フリーのものだと、Buzzroom GranComp3があります。

また、DAWの付属のエフェクターとして搭載されています。


・マルチバンドコンプレッサーの基本構造


マルチバンドコンプレッサーにはバンド数があり3~6バンドで構成されています。(プラグインによって数が異なります。)ローからハイまで各バンドのクロスオーバー周波数(境目)とQ幅を調整することができ、それぞれ原音によって調整します。




各バンドにシングルバンドのコンプと同様にThreshold、Ratio、Attack、Release等があります。

(Waves C6の場合はRangeというパロメーターで分けられているようです。)

・マルチバンドコンプレッサーの使い方

ピンポイントで狙ってかける方法と、全帯域(フルレンジ)でかける方法とあります。

ピンポイントで狙う場合、例えば低音の音だけ狙ってコンプレッサーをかけることができます。低音の音にのみ圧縮された挙動が加わるので、ハイに影響を与えにくいのが特徴です。

ベースに限らずスネア等にも応用できます。

例えばスナッピーの音にのみコンプをかけたり胴鳴りの部分にのみコンプをかける事も可能です。マルチバンドコンプレッサーには各帯域にバイパススイッチが搭載されているので、かける必要のない帯域はオフにし、必要な帯域のみかけるのが最も簡単な使い方です。


また、全帯域(フルレンジ)にコンプレッサーをかけると効果的なこともあります。

例えばローからハイまで音が埋まっている原音(例えばドラムとか、ピアノ)やマスタートラックには効果的で、周波数のばらつきを抑え、音圧を与えて派手にすることができます。


・Attack Release Ratio Gain等の調整は?

各パロメーターの調整は原音によって異なるのですが、音をどのような雰囲気に圧縮したいのかによって調整します。

例えば、スネアのミッドにのみコンプをかける時、アタック感を維持したままサスティン部分を圧縮したいのであればアタックを遅め(30msec位)、リリースも遅め(60msec位)にしてみます。

効果は各バンドにソロスイッチが付いているので、任意のバンドをソロモードにしバイパススイッチで効果を確認しながらアタックとリリースの調整をします。それぞれ値が決まったら、効果の度合いはRatio(Range)を上下することによって微調整します。

音を圧縮すると音量は小さくなるので、Gainを上げることで音量感を元に戻すことができます。ソロスイッチで調整したら、必ずソロを外して全体のサウンドを確認します。


・マルチバンドコンプレッサーはEQにもなる?

マルチバンドコンプレッサーはEQと同様の効果を与えることができます。

例えばローを圧縮すれば、ローの音量は小さくなるのでEQでローをカットしたのと似た様な効果を得る事ができます。つまり、EQとコンプレッサーを融合したものなのです。

なので、マルチバンドコンプは別名ダイナミックEQ、動的EQとも呼ばれています。



ただし、EQと違いはあります。それはThresholdがあることです。EQは入力音の大小限らず音量を調整しますが、マルチバンドで設定した場合は大きい音が入力された場合のみ音を圧縮します。


例えばAメロ、Bメロのピアノのミッドは然程圧縮せず、サビの一番盛り上がる時だけミッド音を圧縮するという高度なコントロールも可能です。

まずは普通のEQで調整して納得いかない場合、マルチバンドコンプレッサーに代理してみたら格好良くなることもあります。


つまり、EQとマルチバンドコンプレッサーのどちらが音楽的かを比較して良いほうを選べば良いのです。


・マルチバンドコンプレッサーでの調整後はOutputの微調整は重要!

マルチバンドコンプレッサーは音を劇的に変化させることができるプラグインですが

同時に音量バランスも大幅に変化してしまいます。

なので調整後はOutputフェーダーで音量バランスを再度調整します。

Outputフェーダーでプラグインをバイパスした時の音量感と同じにすることで、変化を比較することもできます。


・マルチバンドコンプにおけるサイドチェーン機能とは?

マルチバンドコンプレッサーにはサイドチェーン機能が搭載されているものもあります。(画像はWaves C6)

サイドチェーンとは入力音に合わせて音を圧縮する機能で、任意のバンドにサイドチェーンをかけることができます。


例えばスネアとピアノの音質調整で、スネアの音を強調させたいのでピアノの200Hz付近の音をEQでカットすることでスネアの音を前に出すことができました。

しかし、ピアノの200Hz付近の音をEQでカットしてしまうとピアノの音が細くなってしまうし、ピアノの柔らかさも失われる上にドンシャリのキャラクターのピアノになってしまいます。でも、スネアの音の邪魔はして欲しくない・・


そんな時にサイドチェーン機能を応用すれば、スネアが打点する瞬間だけピアノのミッドをカットすることが可能になります。

このテクニックはローからミッドを犠牲にせずリズム隊の音を前に出し、音圧を稼ぎたい場合に驚くべき効果を発揮します。このテクニックを使う場合は、アタックは最速に設定し、リリースは楽曲のグルーブ感に合うように調整します。


実は昔からあるテクニックのようで、ベテランのエンジニアはEQのボリュームのオートメーションでこのテクニックを行っていたようです。

最近だとMS(ミッドサイド)でサイドチェーン・コンプレッサーをかけることができる高性能のプラグインも販売されています。(Brainworks bx_dynEQ V2など筆者も愛用しています。)


これらの機能を使用すればスネアが鳴る瞬間のみ、

ピアノのミッド成分をカットするという精密なコントロールも可能です。

パッド等のステレオの原音にこのテクニックを応用すると、ステレオ感を維持したままパンチの効いた2MIXにすることも可能です。


・最後に

マルチバンドコンプレッサーは扱い方が難しいですが、慣れれば狙った音に最短距離で近づけられる強力なツールになります。

EQとコンプレッサーの扱い方に慣れてきたら、使ってみてはいかがでしょう?


大野博紀 @taiya212

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